アパレル業界が抱える現状の課題から今後の展望を解説!
2021.06.23
アパレル業界の動向、コロナ禍によるアパレル業界の影響はどのようなものだったのでしょうか?この記事では、アパレル業界の課題や動向を俯瞰的に把握しながら、ウィズコロナ、アフターコロナの展望について見ていきましょう。
1990年代から2010年ごろにかけて、業界全体の売上が減少傾向にありましたが、その後、コロナ禍前までの数年間は、ほぼ横ばい状態となっていました。(参照:経済産業省資料P5)アパレルのECについては、消費者がインターネット経由で衣服や靴を購入する機会が増え、EC化率が年々上昇していました。
新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言の発令で、実店舗の売上はモロに影響を受けましたが、コロナ禍でもアパレルのECの市場は、拡大傾向となったのです。
アパレル業界の現状
次に、アパレル業界の市場規模の推移や動向などを具体的にみていきましょう。
アパレル業界の市場
まずは、市場推移から見ていきましょう。(矢野経済研究所調査 2020年)
アパレル業界の市場規模は、2014年の9兆3,785億円からほぼ横ばいが続きましたが、2019年には、前年比99.3%のマイナス傾向に転じ9兆1,732億円となりました。
国内アパレル総小売市場規模推移(品目別)
販売チャネル別では、百貨店や量販店などが前年比を下回る結果となりました。百貨店では、衣料品全般の売上が低迷し厳しい状況が続いています。量販店は、2016年から2018年にかけて、ベビー・子供服・洋品のみ前年比でプラスに転じましたが、2019年には再びマイナスに推移しました。
近年のアパレル業界の動向
アパレル業界における消費者ニーズ、効果的な事業戦略は、ここ数年で大きく変化しています。
AmazonやZOZOなどへのモール出店が増加しており、ECと実店舗の連携が重要になっています。2019年のアパレル業界のEC化率は13.87%で、これは全産業の平均EC化率である6.76%を大きく上回っており、EC化が加速している現状が把握できます。(経済産業省 調査 平成元年度)
IoT、AIなど様々デジタル技術の導入も進み始めています。
例えば、IOT技術のひとつとも言えるRFIDタグの導入が進んでいます。RFIDとは、非接触でデータの読み込みが行える電子タグのことです。
レジで一つ一つ商品のスキャンを行わなくても合計を計算してくれます。ファーストリテイリングは、2018年春夏商品から全商品を対象にRFIDタグの貼付を開始しました。
RFIDタグは、商品に直接、触れることなく、商品の様々なデータ、価格、色柄、サイズ、製造時期、素材などが、認識できる技術で、レジだけでなく入荷、在庫管理、棚卸、販売などすべてのプロセスでの効率化も期待されています。
消費者との接点である販売チャネルを、実店舗だけでなくオンラインの接点(ECサイト、メール、スマホアプリなど)をシームレスにつなぐオムニチャネルの考え方も導入されはじめています。
例えば、ECで選んだ商品を実店舗で試着するサービスなどが進んでいます。ECサイトから希望店舗に送ってもらい、実際に商品を試着してから購入ができるので消費者にとっては安心です。
次に、アパレル業界の海外展開ですが、アジアへの販路拡大が積極的に行なわれています。特に中国や東南アジアに向けた展開が増加しています。
またこれまで、アパレル産業は、製造工程での汚染水、温室効果ガスの大量に発生や、動物の皮や毛の使用、在庫の大量廃棄などが問題視されていました。2019年の主要7ヵ国首脳会議の「ファッション協定」をきっかけに、サステナブルファッション」への注目が進 んでいる点も見逃せないポイントです。
アパレル業界が抱えている課題
次にアパレル業界が抱える課題を見ていきましょう。
低価格志向の消費者の増加
十数年前までは、ブランド品や高級なファッションアイテムを多く所有することが、ステータスとなる時代でした。そのため、ファッションにたくさんのお金をかけ、ブランド品で着飾る人も珍しくなかったのです。
しかし、近年では「モノへの執着」自体が減り、いわゆる「ミニマリスト」的志向が市場に浸透しています。高級衣料品が売れにくい時代になったのです。
以前は「低価格商品は品質が悪く、長持ちしない」という常識がありましたが、最近ではユニクロやZARAなどを筆頭に、ファストファッションの高品質化が進んでいます。
低価格で機能性が高くさらにデザイン性も優れた商品の普及は、あえて高いものを買わなくも良いと考える消費者の傾向を生んでいます。こうして年々、消費者の低価格志向が進んでいるのです。
国内市場の縮小
景気の低迷もファッションの消費の減少や、国内アパレル市場の縮小に影響を及ぼしています。服やバッグなどにお金をかけずに、必要最低限の支出に抑えようと考える消費者が増えています。
総務省の家計調査(二人以上の世帯)によると2000年と2019年の比較で消費全体が7.5%減していますが、これをアパレル消費で見ると34.4%もの減少となっています。
嗜好品の要素の強いファッションは、景気の影響を受けやすく、景気の波を考慮した事業戦略が前提となります。
新型コロナウイルス感染症の影響
低価格志向、景気低迷に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大が、アパレル業界に大きな影響を与えました。緊急事態宣言による外出自粛や営業時間の短縮は、実店舗から客足を遠のかせ、売上の減少や閉店を続出させました。
ワクチンの普及が進まない限り、当面の間、外出自粛の動きは続くと見込まれます。実店舗での販売に縛られることなく、さまざまなチャネルでの販路拡大を進めることが急務と言えるでしょう。
ECサイトやフリマアプリの台頭
前述の通り、アパレル業界のEC化率は高い数値となっています。最近では実店舗よりECサイトでの販売のほうが、売上が伸びるケースも見られます。
また、フリマアプリも台頭しています。中古品の衣料品が、気軽に安く買えるというメリットに惹かれ、若者を中心に人気が高まっています。フリマアプリの台頭は、新品の衣料品の消費にも影響を与え、アパレル業界の売上低下の一因となりました。
衣料品のサブスクリプションサービスの登場も、実店舗の購入者数減少に拍車をかけました。
アパレル業界の今後の展望
これまでのアパレル業界の課題を踏まえて、今後の展望について考えてみましょう。
海外への展開を強化
現状、国内市場は縮小しています。アフターコロナを見越し、積極的な海外展開を視野に入れる必要があります。
国内では、ファッションにお金をかける消費者は減りましたが、海外には、流行に敏感で、ファッションに対する購買意欲の高い消費者が多くいます。
そもそも近年の日本のアパレル市場で、ブランド品など高額商品の売上を支えていたのは、中国人をはじめとした訪日外国人客のインバウンド需要でした。コロナ禍による観光客のストップは、アパレル業界にとって大きな痛手だったのです。
アフターコロナに向けて、インバウンド需要の再開に期待するだけでなく、海外向けECサイトの開設、海外での実店舗の設置など積極的な海外展開を進めるべきでしょう。日本国外の市場をターゲットにしたマーケティグ施策の重要性が高まっています。
ITやデジタル技術の活用
前述のとおり、アパレル業界のEC市場は年々拡大傾向です。現在では17,728億円規模 (経済産業省調査 平成 30年度 P49) にまで成長しています。
もともとインターネット経由で衣料品を購入する人は増加していたのですが、コロナ禍でアパレルのEC市場はさらに拡大しました。
今後、売上を伸ばしていくためには、ECサイトの強化・拡大に留まらず様々なIT技術を駆使した施策を取り入れることは必須となるでしょう。
IoTやビッグデータ、AIなど、デジタル技術を活用した新しいサービスの展開で、実店舗とオンラインを一貫したチャネルとして捉えるオムニチャネルを促進することも大事でしょう。
オムニチャネルやアパレルECサイト自体の販売拡大を進める際に、ハードルとなるのが、消費者の「サイズ」に対する不安です。この疎外要因をAI技術で解消するという選択肢が登場してきています。
Bodygramの活用でECサイト戦略を強化!
「Bodygram」はスマートフォンにより身体のサイズを瞬時に測定する、AIによる採寸技術です。スマートフォンで自分の身体の前面と側面、2枚の写真を撮影して、簡単な情報を入力すれば、全身の高精度な身体サイズを推定できます。
Bodygramの導入はアパレルのECサイトの課題である「自分に合ったサイズが分からない」「届いた洋服のサイズがイメージと違った」といったサイズの課題を解決できます。
高精度な採寸データを参考にできるため、よりフィットするサイズの提案が可能になります。これにより、リピート率の向上だけでなく返品率低下、顧客満足向上などの効果が期待できます。
また、Bodygramのアプリのユーザーに対し、クーポンやキャンペーン情報を共有できるほか、UXの向上で固定客を獲得することもできます。
まとめ
アパレル業界を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
以前のままの事業戦略では、生き残りが困難な状況とも言えます。海外市場向けの施策や、最新技術の導入など新たなデジタル施策を採用することの重要性が高まっています。
今後ますます重視されるECによる販売拡大や効率化を進める際に、Bodygramの導入もおすすめします。